長谷川 育江
メイプルファームには、わたしの大親友がいます。
メイプルファームには、わたしの大親友がいます。彼女は小柄で、わたしよりもかなり年下なのですが、すでに2度もお産を経験し、母としての貫禄をただよわせています。
彼女とは、わたしが一年目の年の秋に出会いました。
メイプルファームはフリーストール牛舎なので牛が休むためのベッドが用意されています。大概の牛たちは頭からベッドに入り、そのまま座って落ち着くのですが、彼女は違いました。逆向きでこちらを見上げていたのです。その姿が可愛くて、何百頭と牛がいる中、すぐに顔を覚えました。
すでにお気づきかと思いますが…わたしの大親友というのはメイプルファームの搾乳牛のうちの一頭です。
ベッドに逆さまに入る牛は、臆病ですぐ危険から逃げ出そうとする子が多いということを後々に知りました。
確かに彼女は、いつでもこちらの様子をうかがっていたように感じます。それでもわたしは彼女と少しでも仲良くなりたくて、毎日出会うたびに声をかけたり、優しく触れてみたりしました。するといつのまにか、彼女からわたしの方に近づいてくれるようになったのです。
『かわいいよ』『だいすきだよ』『いいこだね』
そんな気持ちは、牛たちにちゃんと伝わります。そして今では、お互いの顔を見れば挨拶をかわし、ハグをする仲になりました。
毎日、搾乳というお仕事に出掛ける彼女たちに少しでも快適に過ごしてもらえるよう、わたしもここでの仕事をがんばろうと思えます。
可愛い牛たちがいてこその酪農です。
わたしたちと一緒に愛情こめて牛のお世話をしませんか?
大親友に会いに来てください!