乳房炎をコントロール
2018.05.23 マガジン
メイプルファームでは毎月数回にわけて、『乳房炎』に関するミーティングをおこなっています。
別の記事に詳しく記載していますが、乳房炎は、牛の乳房に特定の菌が入り込むことで炎症が起こってしまう病気で、毎日牛乳を搾る仕事をしている牛たちにとっては、いつ発症してもおかしくない、身近であり恐ろしい病気の一つです。その病気から、牛を守りたい、そんな気持ちで毎回のミーティングに臨んでいます。
まず乳房炎ミーティングをするにあたって、ひと月にどれほどの牛が、どのような原因菌に由来する乳房炎にかかったのかという集計をとります。その結果から、現状の把握、原因の考察、対策についての話を広げていくのです。
乳房炎には様々な原因菌が存在する
・大腸菌の仲間による乳房炎の場合
大腸菌は動物の消化管にもともと住み着いている常在菌で、クレブシェラは、土壌、穀類、樹木、水、動物の腸管に存在しています。特にクレブシェラはメイプルファームでも敷料として使われているおが粉に生息していることがあるそうです。大腸菌の仲間から起こる乳房炎は非常に急性的で重篤な症状に陥る可能性が高く、危険な原因菌です。これらの菌を抑えるために必要なこととして、「腸管から排出される便が乳頭に触れるような環境ではないか。つまりベッドはキレイに出来ているか」「おが粉は清潔なものを使えているか」というようなことをミーティングで話し合います。
・環境性レンサ球菌による乳房炎の場合
環境性レンサ球菌は、牛のからだ、敷料に使われるおが粉、牛舎、といった、乳牛の暮らすあらゆるところ、つまり環境中に存在しており、『環境性乳房炎原因菌』と呼ばれています。また、特徴として、乳房炎を発症すると非常に多くの菌を乳汁中にばらまき、搾乳に使った機器にそれが付着しているとほかの牛に菌がうつってしまう可能性もあることから『伝染性乳房炎』のような一面も持ち合わせています。レンサ球菌による乳房炎が増えてしまったとき、私たちからは、「牛舎の環境が悪くなってしまってはいないか」「搾乳のクオリティが落ちてしまっていないか」といった意見がでてきます。
このように、それぞれの原因菌には特徴があり、対策を練るにもその特徴を抑えたアプローチをしなければなりません。ミーティングを重ねるうちに、従業員全体が乳房炎に関する知識を増やすことができ、これから様々なアプローチを仕掛けることが出来るようになると考えています。
そして私たちの取り組みは必ずメイプルファームに暮らす乳牛の快適性をとことん追求することになり、彼女たちに病気になることのない暮らしをしてほしい、そして健やかに生きていてほしいという思いも一段と強くなっています。
この記事を書いた人
広報担当としてインスタグラム更新しています。今回は乳房炎担当として記事を書かせて頂きました。